ディナゲスト服用所感(24日目)
プロゲステロン単体のホルモン剤であるところのディナゲスト(0.5mg・1日2回)を飲み始めてから、はや1ヶ月。
体調の良い日がない。
プロゲステロンを「増し」にしている状態だから(卵巣に働きかけ、月経を起こさなくするため)、PMS時期に似た体調の悪さが続いてしまうのは仕方がないことなのかもしれない。が、「ホルモン剤そのものをやめて、丸腰でPMSと月経に臨んだ方が、まだマシなのではないか?」というぐらい、体がつらい。
そもそも、PMSがきつくて、長年、低用量ピルを飲んでいた(むろん避妊の効用もある)。
それが、この一年ぐらいPMSおよび月経のきつさが増してきた。
年齢的に「効き」が悪くなってきているのと、血栓のリスクも上がっているので、エストロゲンを含まないディナゲストに変えて、「月経を起こさない」方向性でいくことにした。それがひと月前。
月経が起きなくなれば、PMSは来ない。しかし、プロゲステロンを補うことによって「PMSのようなつらさ」がずっと続くのなら、それはそれで地獄の再演…
追い詰められた気持ちになってしまうけど、深呼吸しよ。
来週、通院のために休みを取っているから、お医者さんに相談してこよ。
ぽっぽアドベント2021、3日目「小説を書くことについて」
ぽっぽアドベント2021、3日目を担当します。森井です。
https://adventar.org/calendars/6690
今年のテーマは「私の望みの歓びよ」。
私の歓び、まさしく、それそのものーー2021年の終わりに振り返ってみたいと思います。
それでは聴いてください。
「小説を書くことについて」。
・小説を書くことについて
私の歓び、まさしく、それそのもの。
今の私にとって、小説を書いている時間が、それにあたると思う。
小説を書きたい、書けるようになりたいと思い続けてきた。
実際に書いていた時期も、書けなくなった時期も、書くことをやめた時期も、それどころではなくなってしまった時期も、人生の中でそれぞれにあった。2013年に最初のうつを発症して以来、実に、ことし2021年の頭まで、「頭の中に架空の世界観を広げて、言葉で、物語を織り上げる」ということが、全く出来なくなってもいた。
(余談ながら、その凍りついた営為を再生させてくれたのは、韓国ドラマ「秘密の森」、そして主人公ファン・シモクへの偏愛である。「秘密の森」、ありがとう。シーズン3、切望しております。)
諸々の出来事を経て、いま生活の中に「小説を書く時間」を持ち、静かな気持ちで「書き続けていこう」と思っているーーそのことを幸せに思う。うつとの生活の中で、ささやかでも確かな「回復」の手応えを得ることができたこと。そして、病に加えて年齢を重ねたことで、やっと、自分自身への無用な期待を手放すことができたことを。
両方が重なり合って現在があるのだが、それこそ二十代、三十代の元気にあふれていた時であっても、今のような心境で書くことは到底できなかったことを考えると、後者の効用ーー自分自身に諦めをつけたということが、とても大きかったと思う。
自分自身の技術のほど、力量のほど、「身のほど」。
かつては、それを受け入れた瞬間、自分が爆発四散してしまいそうだった。
でも、いつの間にか、引火するはずの自意識が抜け落ちていた。
今はただ小説を書くことが楽しい。
小説の文章を紡ぎ出す、その時間が楽しい。
描写に情感を入れて、比喩をつかい、実生活で必要とされる文章とは全く異なる、小説の文章を作る。イメージを思い描き、頭の中に言葉をあふれさせて、ビーズを糸に通すように、するするとつなげていく。途中でほどき、やり直す。語順を入れ替える。その繰り返し。その時、自分が満たされていくのを感じる。その作業でしか使われない脳の領域が動き出して、楽しい、生きていてよかった、と、素直に思う。
日々その幸せを味わいたいのだが、「何を書くのか」が決まらないうちは、その時間に入っていくことができない。だから題材を探すし、書き終えるまで走り続けられるように、構成をがんばって練る。ストーリーを作る力が足りないため、毎回半泣きになりつつ、いまはこれが精一杯、と、ほどよく諦めたりもする。現状では、ひとつでも多く「完成」させることが、自分の実りになると思う。なにしろ、二十年以上も迷い、惑い続けてきたのだから、いまはもはや、逡巡する時ではないと思う。
「書くこと」そのものへの迷いが減ることは精神衛生上もありがたく、それだけで、両肩がすっと軽くなる。一方で、実際に生活の中に「書く」ことが入ってくると、日常生活との両立という「困りごと」に再会することになった。
なんといっても、「日常生活がお留守になる」。これは覿面。好きな作品があるとか、好きな人(キャラクターあるいは俳優など)ができた、というのとは段違いに、脳のメモリを奪われる。その意味で、小説を書くことは私にとって心の救いでありつつ、うつにとっては双刃の剣ではないかと思う。書いている間にも脳をつかい、眠って、起きたら今度は仕事に脳を使うわけで、正直、脳を三つ持って、小説を書く時間まで充電しておけたらいいのにな、と、つくづく思う。本数を重ねて、技術や慣れが備わってくれば、この部分も少しは楽になるのかなと思いながら、ぼんやりして階段から足を踏み外したりしないよう、日々、足元に力を込めて歩いている。
もっとうまくなりたい、もっと書けるようになりたい、そう願う気持ちが自分に戻ってきたこと、その気持ちを実行に移せていること。そのことが私にとってなによりの幸福であって、それを考えると、ここまでろくでもない遠回りをし、みずから時間を無駄にしてきたことを悔やむ一方、もう過ぎた時間のことはどうしようもないのだから、これから一歩ずつ進んでいこう、と、体ひとつ、道に立っているような気持ちになる。
自分自身の足りなさは、今も、きっとこの先も、ずっと怖いけれど、やり続けたいと思う。顔を上げて、でも、足元がお留守にならないように、進む足に、力を込めながら。
・さーて、明日のぽっぽアドベント2021は?
明日は、4日目・ちゃんあずさんです!!( https://twitter.com/azucocco )
お楽しみに!!
ソウルに行けなくなりまして〜2020ぽっぽアドベント「変わった/変わらなかったこと3」
はじまるよ!ぽっぽアドベント2020
ようこそおいでくださいました。
はとさん 主催 ぽっぽアドベント「変わった/変わらなかったこと3 」
12/1担当の森井です。
昨年のぽっぽアドベント「私が動かされたもの」を拝見して「ぜひ参加したい!」と思っていたのですが、今年、あっという間に枠が埋まってしまい・・・
”泣きの3つ目”を作ってくださったはとさん、本当にありがとうございます。
ぽっぽアドベント2020のテーマは、「変わった/変わらなかったこと」。
このテーマを軸に、3つのアドベントカレンダーが(豪華!!)、12/25のクリスマス当日まで、リレー形式で続いていきます。
1つ目:
本日12/1は、雨漉天才さん
2つ目:
本日12/1は、ギャラクシーみんなハピネスさん
そして3つ目:
本日12/1は不肖わたくし、森井です。
あらためて、豪華すぎる「ぽっぽアドベント2020」。熱い12月が始まりました。
主催のはとさん、場を作ってくださって、そして、広く参加の機会を開いてくださって、改めてまして本当にありがとうございます。
それでは、そろそろ ”3つ目” 12/1 の記事に参りましょう。
聴いてください、「ソウルに行けなくなりまして」
ソウルに行けなくなりまして
2020、変わった/変わらなかったこと。
この記事を書くにあたり、今回のテーマについて熟考を重ねましたが、
まさに、「変わらなかったことなど何一つなかった」と結論づけてしまいたいこの1年でした。
とくに、ソウルに行けなくなったこと。
現在、韓国ミュージカル鑑賞および俳優チョ・スンウさんの演技鑑賞を最大の趣味としている私にとって、まさしく精神の死活問題が発生した年でした。(主に、死の方向で)
本来、「韓国ミュージカル」も「俳優チョ・スンウ」も、ハマって日が浅い私が語るには荷が勝ちすぎる存在ですが、あくまで、私の趣味の話として楽しんでいただけばありがたいです。
また、2020年の話にいく前段として2018年・2019年の事柄も多めに出てきておりますが、大目に観ていただければ幸いです。(多めだけに。)
もともと、韓国ミュージカルにも俳優チョ・スンウ氏にも、それぞれ、もう少し早く出会ってはいたのです。
韓国映画が大好物の私は、スンウさんの「タチャ イカサマ師」を相当前に観ていたし、映画「暗殺」のキム・ウォンボン役も、とても鮮やかに記憶に残っていた。そして、「インサイダーズ 内部者たち」も劇場公開時に観てラストの爽快感にシビれたというのに、当時は、まだ、私の中で、時が満ちていなかったのでありましょう。
運命が動いたのは、2018年秋。Netflixに加入し、そのとき配信されていた「インサイダーズ」を再鑑賞したのをきっかけに、「あの検事の役の人、すごく、気になる…」となり。
大好きなぺ・ドゥナ様も出ておられる、「秘密の森」に手を伸ばしたのです。
ーー完ーー (制作・著作 NHK)
完、じゃない。そこから、急坂を転げ落ちるごとく、スンウ沼にスリップイン。情報を検索する妖怪と化し、本当に今更すぎて申し訳ない限りなのですが、スンウさんがミュージカル俳優であることを知ります。
この、圧倒的今更度合い。大変に面目ない。体型的に履修できていないと、こういうことになるのですね。手元の「韓国ミュージカル俳優名鑑」(ぴあMOOK、2013年)に、なぜかスンウさんが載っていないということも、私の無知と運命のいたずらに拍車をかけてしまいました。(でも、巻頭言の2行目に、早くも「チョ・スンウ」の名前が出てきてる)
韓国ミュージカルは「オケピ!」「フランケンシュタイン」(ともに2016年)を観たことがあり、また、その「フランケンシュタイン」の衝撃が凄すぎて前後不覚に陥ったことが、決定的な韓国ミュージカル体験で。その後、続発するライフイベントの都合で渡韓の機会がありませんでしたが、時が来たら、再びチャレンジしたいと思っているジャンルでした。
遅まきながら、スンウさんが韓国ミュージカルの大々々スターと知って。
さらに、2018年晩秋現在、代表作「ジキル&ハイド」に出演中と知って。
私の「時」が、ようやく動き出したのです。
ハマりそめの熱量、しかも、これまでの遅れを取り戻さねばと焦りまくっていますから、2019年〜2020年初頭にかけての私は、我ながら本当にひどくて。
可処分所得の大半を注ぎ込み、ソウルに飛び、スンウさんが主演する「ジキル&ハイド」そして「SWEENEY TODD」を観にシャルロッテシアターに通い続けた2019年。2019-2020の年末年始もソウルで9泊10日を過ごし、生まれて初めて、何も考えずに思いっきり「遊び」ました。当然、経済的にはズタズタになりましたが、その恐怖すら甘受できるほど、本当に楽しかった。
この栄養を胸に、2020年は秋冬の「ラマンチャの男」に向けてお金をためて、2020-2021の年末年始も、ソウルで過ごそう。ずっと、ミュージカルを観ていよう。
そう思っていた矢先の、COVID-19感染拡大でした。
2020年2月28日から3月1日にかけてのソウル観劇旅が今のところ最新の渡韓であり、そこから、早や10ヶ月が過ぎようとしています。
ご存知の通り、いま、日本・韓国間のビザなし渡航は凍結状態。
さらに、ビザが取れても、韓国入国後の2週間の隔離と、日本帰国後の2週間の隔離を考えると、やはり、社会生活との両立は難しい状況。
私にとっては、いま一番熱い楽しみを封じられた形となり、心理的に、本当にキツかった。
大好きな「ウンテ神」ことパク・ウンテさんが主演する初夏の「モーツァルト!」にも、夏の「キンキーブーツ」にも、行けず。ガチで作画が異次元「顔がいい!」ことチョン・ドンソク俳優渾身の「ドラキュラ」を、再び観に行くこともできず。
何度も、しおしおと心が潮垂れながら、それでも、「秋になったら…」「年末の頃には…」と、あやふやな「希望」を持ち続けていました。
2020年秋冬の「ラマンチャの男」に、ひとすじの希望を託していたからです。
韓国ミュージカルの演目とスケジュールは、前年の末に、ラインナップがほぼ出揃う形になります。「MAN OF LA MANCHA」の2020年秋冬公演は決定しており、夏には、公演期間を確定しての告知第一弾が出されました。
この時勢だけど、ラマンチャ、やっぱりやるんだ。当然、スンウさんが出るはず。
公演期間は、12月半ばから来年3月初旬まで。
「まだ慌てるような時間じゃない」と、心の仙道彰(by スラムダンク)が囁きます。
猛暑の8月がすぎ、9月は、一転、冷え込む秋へ。
そんな9月の末、ついに、キャストオープンがやってきました。
セルバンテス/ドンキホーテ役は、リュ・ジョンハン、チョ・スンウ、ホン・グァンホ。
3人ともが韓国ミュージカルのレジェンド。
OD COMPANYの横綱相撲が炸裂する、夢のキャスティングです。
いつもなら、狂喜乱舞の、すべてのスイッチがONになる瞬間。
スンウさんの出演が確定して誇らしいのに、ずしんと重い。
胸が重い。
こんなに複雑な気持ちは初めてだ。
そして10月半ば、第一次チケットオープンの告知とともに、待望のキャストスチールが公開。
この時、さすがに、泣きました。
スチールを見た途端に涙がじわーっと湧いてきて、そのまま、目の縁まで引き上げたマスクに吸われていって。コロナ禍になって初めて、マスクの常駐がありがたかった。
言語化するのを避けていても、自分自身、その頃にはもう、よくわかっているのです。
きっと、「観に行けない」だろうということを。
あと一ヶ月や二ヶ月で、急に、情勢が変わりはしないだろうということを。
この日以来、基本、精神的にずっと泣いています。
仕方がないことだと思いつつ、カンパニーから情報発信があるたびに、心が千々に乱れます。
新しいスチール、眩しい。嬉しい。嬉しい、けど。
いま手元に1枚だけ握りしめているチケット、最後の最後、万が一、状況が変わるかもしれないと流せずにいるこのチケットも、ほどなく、キャンセル処理をすることになるでしょう。
今は、ゆっくり、その心の準備をしているところです。
現実に向き合ってしまうと、つらすぎる。
でも、自分にとってとても重要なことなのに、半端にやり過ごし続けることも、精神衛生上、すっきりしない。
自分でコントロールできることではない事態を前にして、いかに、自分で変えられる領域を大切にするか。そのことの重要性にやっと気づきつつある2020年の暮れであり、その実践を学ぶ2021年になりそうです。
私がスンウさんの舞台を初めて観たのは、2019年2月8日、演目は「ジキル&ハイド」でした。
私にとって、それは事件でした。
そこから全てが始まって、いま、3度目の冬を迎えています。
スンウさんの舞台について、その良さを語ろうとすればいくらでも言葉を費やしてしまいそうですが、やはり、真っ先に挙げたいのは、人物の感情表現の素晴らしさ。
その人の人生、感情、状況、苦悩、他者との関係ーー人間を取り巻くあらゆるものを、未知の解像度で、表現しているということ。
とりわけ「ジキル&ハイド」第2幕クライマックスの”confrontation”の場面は、何度思い出しても、そのすごさに鳥肌が立ちます。
真っ暗な舞台に、セットもなく、俳優がただ一人だけ。
極限まで絞った照明が赤、緑、と切り替わる中で、舞台の上でチョ・スンウが作り出すジキルとハイドの精神世界、その葛藤の光景に向かって、客席全部が、息を呑み、グッと引き寄せられていく。その求心力で空気の密度さえ変わり、劇場の暗闇の全てが、舞台上のただ一人へと強力に収斂していく。まるで、深い海の底に閉ざされていくかのように。現実と全く隔絶された、スンウさんだけが作る特別な世界。その暗闇にいる時間があまりにも豪華で、好きで、忘れることができない。
ただひとつ変わらないものがあるとすれば、またそこに身を置きたいという私の願い。そして、スンウさんは、必ず、その世界を作り出してくれるという、信頼。
俳優チョ・スンウの舞台を再び観られる日まで、どれだけ時間が必要なのか、いまは見当もつきません。期待や予測に裏付けの持ちようもなく、すぐに、徒労やぬか喜びに変わってしまうことでしょう。
でも必ずまた、劇場で、舞台と客席との間で、再会できると思う。
その日まで、ほどよく、しぶとくやり過ごしながら、自分の人生をがんばります。
「MAN OF LA MANCHA」が無事に開幕を迎えますように。
怪我なく、事故なく、カンパニーまた関係者全ての人々が、千秋楽まで無事やり終えることができますように。
そして、もしまた観に行けるようになったなら、チケットが無事取れますように(笑)
チケッティングの神様、なにとぞ、なにとぞ。
チョ・スンウという偉大な俳優さんは、私には何の縁もゆかりもない、雲の上のスターなのに。劇場に行けば(そしてチケットがあれば)、舞台の上の、私の俳優さんに会える。
そのことの不思議さと有り難さ、そして幸福を、いま、噛み締めています。
さ〜て、明日のぽっぽアドベントは?
「ソウルに行けなくなりまして」、お読みいただき、ありがとうございました。
さて、明日のぽっぽアドベント2020は?
1つ目:王谷晶さん (『ババヤガの夜』大好評発売中!!!)
2つ目:チグリスさん
3つ目:oɔɹǝddǝdさんです。
お楽しみに!!